決算書が赤字で、銀行に出すのが恥ずかしいと感じる経営者は少なくありません。
とくに、これまで何とか資金繰りを回してきた人ほど、「赤字を見せたら評価を落とすのではないか」「担当者にだらしない会社だと思われるのではないか」と不安になりやすいものです。
ただ、銀行との関係では、赤字そのものよりも、赤字をどう受け止め、どう説明し、次にどう立て直すのかのほうがはるかに重要です。
実際、銀行は決算書だけで白黒を決めているわけではなく、返済原資になりうるキャッシュフロー、資金繰りの見通し、赤字の原因、改善策の具体性、経営者の説明姿勢まで含めて見ていますという考え方は、銀行融資や決算説明資料に関する実務解説でも繰り返し示されています。
また、国税庁の会社標本調査では、令和5年度分の法人数295万6,717社のうち欠損法人は180万3,203社で、欠損法人の割合は61.0%とされています。
つまり、赤字決算は珍しい失敗例ではなく、多くの会社が直面する現実であり、恥の問題として抱え込むより、金融機関にどう見せるかという実務の問題に置き換えたほうが前へ進みやすくなります。
このページでは、決算書が赤字でも銀行には出すべき理由、銀行が本当に見ているポイント、提出時に添えると印象が変わる資料、避けたい伝え方、今後の立て直し方まで、経営者の気持ちに寄り添いながら整理します。
決算書が赤字でも銀行には出すべき

結論から言えば、決算書が赤字でも、銀行にはきちんと提出したほうがよいです。
理由は単純で、銀行は決算書の提出を前提に取引先を見ており、赤字を隠そうとする姿勢のほうが、赤字そのものより強い不信感につながるからです。
融資の継続、新規借入、条件変更、当座や手形、保証協会付き融資など、どの場面でも銀行は数字の確認と説明の整合性を重視するため、出しづらい決算書ほど、説明資料を付けて先回りすることが重要になります。
恥ずかしいと感じても提出は避けられない
銀行取引を続ける以上、決算書の提出はほぼ避けられない前提だと考えたほうが現実的です。
融資を受けていればもちろん、すぐに借入予定がなくても、銀行は取引先の業況把握のために定期的な決算書の確認を求めることが多く、提出を渋るほど「何かもっと悪いことを隠しているのではないか」と受け取られやすくなります。
赤字である事実は数字を見れば分かるため、見せない工夫よりも、どういう背景で赤字になったのか、今後の返済に支障があるのかないのかを整理して伝えるほうが、結果として関係を守りやすくなります。
恥ずかしさは感情として自然ですが、銀行対応では感情を実務に翻訳することが大切であり、「出すのが恥ずかしい」ではなく「出す前に説明の準備が必要」と言い換えるだけでも、打ち手が見えやすくなります。
銀行は赤字だけで機械的に判断していない
赤字決算になると即座に融資不可と考えがちですが、銀行は単年度の損益だけで機械的に判断しているわけではありません。
実務上よく言われるのは、黒字か赤字かよりも、返済能力や将来の資金繰りをどう見せられるかが大切だという点です。
たとえば、減価償却費が大きくて帳簿上は赤字でも、営業面では資金が回っている会社や、設備投資や一過性要因で一時的に利益が落ちている会社は、説明次第で見られ方が変わります。
逆に、黒字でも売掛金の回収が遅く、在庫が膨らみ、現金が減っている会社は、銀行から見ると安心とは言えません。
この差を理解しておくと、赤字であることへの必要以上の萎縮を抑えやすくなります。
赤字の種類で見られ方は変わる
ひとくちに赤字と言っても、銀行の受け止め方は一様ではありません。
一時的な売上減少、原材料高騰、設備投資、先行採用、新規出店、取引先の急な離脱、災害やトラブル対応など、原因がはっきりしていて、回復シナリオが説明できる赤字は、まだ対話の余地があります。
一方で、何年も同じ理由で利益が出ず、粗利率も固定費も改善せず、資金繰り表もなく、社長自身が原因を言語化できない状態は、構造的な赤字と見られやすくなります。
つまり重要なのは、赤字の有無ではなく、その赤字が説明可能か、改善可能か、再現性のある問題なのかという点です。
提出前に「今回の赤字は何型なのか」を自分の言葉で定義するだけでも、銀行面談の質はかなり変わります。
赤字を隠すより先に説明するほうが信頼される
銀行担当者は、良い数字だけを持ってくる会社より、悪い数字も早めに共有してくれる会社を信頼しやすい傾向があります。
なぜなら、銀行側は社内で稟議や報告を行う必要があり、情報が早く、整っていて、説明の筋が通っている取引先ほど、支援の判断をしやすいからです。
決算書を出したあとに質問されてから慌てて弁明するより、「今期は赤字ですが要因は三つあり、来期はこの施策でこの水準まで改善します」と最初に示したほうが、相手は受け止めやすくなります。
社長としては弱みを見せる感覚があっても、銀行からすると、それは管理能力や誠実さの確認材料になります。
提出が遅れるほど印象は悪くなりやすい
赤字決算を見せたくない気持ちから提出を後ろ倒しにすると、状況は好転しにくくなります。
遅れるほど、銀行は最新状況をつかめず、保守的に判断しやすくなりますし、追加融資や条件見直しが必要になったときにも、「日頃から情報開示が弱い会社」という見られ方をされやすくなります。
とくに資金繰りが厳しくなってから一気に相談する形は、銀行からすると最も対応しづらい持ち込み方の一つです。
赤字の決算書ほど、早く出して、早く説明して、早く改善策を共有するほうが、選べる手段が残ります。
恥ずかしさで先延ばしにするコストは、思っている以上に大きいと考えておいたほうが安全です。
実は赤字企業は珍しくない
赤字企業は、自分だけが取り残された例外的な存在ではありません。
国税庁の令和5年度分会社標本調査では、欠損法人の割合は61.0%であり、赤字の会社は相当数存在します。
また、2024年公表の国税庁統計法人税表をもとにした東京商工リサーチの調査では、2022年度の普通法人ベースで赤字法人率64.8%とされています。
もちろん、赤字なら安心という意味ではありませんが、少なくとも「赤字になったら終わり」「銀行に出したら異常扱いされる」という思い込みは現実とずれています。
数字の悪化を個人的な恥として抱えるのではなく、多くの企業が直面する経営課題の一つとして捉え直すことが、冷静な対話への第一歩です。
出す前に整えるだけで印象は大きく変わる
同じ赤字決算書でも、ただ提出する会社と、説明資料を添えて提出する会社では、受け取られ方がかなり違います。
銀行向けの決算説明資料では、実績の要約だけでなく、赤字の原因、経営課題、対応策、来期見通しまで整理して伝えることが有効とされています。
要するに、決算書は点で見せるのではなく、前期との比較、今期の特殊事情、来期の打ち手を線で見せることが大切です。
その準備があるだけで、「厳しいが管理できている会社」という評価に近づきやすくなります。
恥ずかしさをなくすことは難しくても、準備によって不利を減らすことは十分可能です。
銀行が赤字決算書で本当に見ているポイント

銀行にとって、決算書は単なる成績表ではありません。
そこから、返済原資がどこから生まれるのか、資金繰りが悪化していないか、経営者が数字を管理できているか、今後の改善余地があるかを読み取ろうとしています。
そのため、社長が「赤字」という一点だけに意識を奪われると、銀行との会話がずれやすくなります。
ここでは、実際に提出時に意識したい観点を、経営者の準備につながる形で整理します。
最重視されるのは返済能力
銀行がまず知りたいのは、貸したお金が返ってくる見込みがあるかどうかです。
そのため、損益計算書の最終利益だけでなく、営業利益、経常利益、減価償却費、借入返済額とのバランスなど、実質的な返済余力を見ます。
実務解説でも、黒字かどうかより返済能力やキャッシュフローが重視されると説明されています。
社長側としては、「赤字ですみません」という謝罪よりも、「返済原資はここにあり、来期はここを改善します」と話せるほうが、相手の知りたいことに合っています。
返済能力の説明が弱いまま感情面だけを話しても、銀行は判断しにくいままです。
キャッシュフローと現金残高
帳簿上の赤字でも、現金が回っている会社はありますし、逆に黒字でも現金が足りない会社はあります。
だからこそ銀行は、足元の預金残高、毎月の入出金推移、資金繰り表、税金や社会保険の支払い状況まで含めて見ようとします。
freeeの調査記事でも、赤字でも融資を受けられる企業の特徴として、資金使途と返済計画が分かる資金繰り表を提示していることが挙げられています。
現金残高が薄いのに「大丈夫です」と言い切るより、「季節要因で今月は薄いが、入金予定と支払い予定を整理するとこの線で回る」と見せるほうが説得力があります。
赤字の説明は、損益だけでなく資金の動きまでセットにして初めて通じやすくなります。
一時的な赤字か構造的な赤字か
銀行は、今回の赤字が一時的なものか、それとも構造的に続くものかを強く気にします。
一時的な赤字とは、設備投資、原価高騰、特別損失、大口先の一時離脱など、原因が限定的で改善シナリオが描けるものです。
構造的な赤字とは、粗利が低い、価格転嫁できない、人件費や固定費の設計が重い、赤字部門を放置しているなど、今の事業の回し方そのものに無理がある状態です。
どちらに見えるかで、必要な資料も変わります。
前者なら経緯と回復見通しの説明、後者なら経営改善計画の具体性がより重く見られます。
銀行が見やすい整理項目
銀行面談で押さえたい視点は、社長の頭の中だけに置かず、見やすい項目に整理しておくと効果的です。
とくに、決算説明の場では「何が悪かったか」だけでなく、「何を把握しているか」が見られます。
- 売上の増減要因
- 粗利率の変化
- 固定費の増減
- 一過性要因の有無
- 資金繰りの現状
- 借入返済の見通し
- 来期の改善策
この程度の項目でも事前に揃えておけば、面談中に話が散らかりにくくなり、担当者も社内説明しやすくなります。
数字以外に見られる経営者の姿勢
銀行は数字だけでなく、経営者の姿勢も見ています。
たとえば、質問に対して答えがぶれる、都合の悪い点だけ曖昧にする、税理士任せで自社の数字を説明できないといった状態は、赤字以上に不安材料になりえます。
逆に、厳しい状況でも原因を認め、優先順位を明確にし、改善策を自分の言葉で語れる社長は、支援対象として前向きに見られやすくなります。
銀行取引は、決算書の点数勝負ではなく、今後の管理力への信頼形成でもあります。
だからこそ、赤字をきれいに見せることより、現実を整理して伝えることが重要になります。
主な確認項目の整理表
銀行が赤字決算書を見るときの観点は、感覚ではなくある程度共通しています。
自社の準備漏れを防ぐため、最低限の確認軸を表で押さえておくと便利です。
| 観点 | 銀行が知りたいこと | 社長が準備する内容 |
|---|---|---|
| 利益 | 赤字の原因は何か | 一過性要因と恒常要因の切り分け |
| 返済力 | 返済原資はあるか | 営業利益、減価償却、返済予定 |
| 資金繰り | 近い将来に詰まらないか | 3〜6か月の資金繰り表 |
| 改善策 | 来期はどう立て直すか | 売上、粗利、固定費の施策 |
| 経営者 | 数字を把握しているか | 要因説明を自分の言葉で話す |
この表に沿って準備するだけでも、決算書提出の場が単なる報告から、前向きな相談に変わりやすくなります。
赤字決算書を出す前に用意したい説明資料

赤字決算書は、そのまま出すより、補足資料を付けて出したほうが圧倒的に有利です。
銀行担当者は、社長の口頭説明だけでなく、社内の上席や審査部門に伝えるための材料を必要としています。
つまり、説明資料は自社のためだけでなく、担当者が社内で味方になりやすくするための道具でもあります。
ここでは、最低限そろえたい資料を実務目線でまとめます。
決算説明資料は必ず付けたい
最初に用意したいのは、決算説明資料です。
決算説明資料には、前期比の数字だけでなく、赤字の原因、改善策、今期の見通し、注意点まで入れておくと、単なる言い訳ではなく管理資料として機能します。
実務記事でも、決算説明資料には経営課題や対応策、業績予想を記載し、決算書とセットで渡すことが有効とされています。
1枚から3枚程度でも十分で、重要なのは見栄えより中身の整理です。
「売上が下がった」では弱く、「主要取引先Aの発注減が主因で、既に代替先BとCで月商回復中」と書けるかどうかが差になります。
資金繰り表で返済可能性を見せる
赤字決算のときほど、資金繰り表の価値は高まります。
銀行は未来の返済可能性を見たいので、過去の決算書だけでは不十分であり、今後3か月から6か月、できれば12か月の資金の動きを示せると会話が具体的になります。
資金繰り表には、売上入金、仕入支払、人件費、家賃、税金、借入返済、設備支出などを入れ、月末残高がどう推移するかを見せます。
- 月初残高
- 売上入金予定
- 固定費支払予定
- 税金と社会保険
- 借入返済額
- 資金不足月の有無
- 不足時の対応策
赤字でも資金繰り表が整っていれば、銀行は「見えている問題」として扱いやすくなりますし、freeeや会計実務の記事でもその有効性が指摘されています。
改善策は数字と一緒に示す
改善策は、「頑張る」ではなく、数字と結びつけて示すことが大切です。
たとえば、値上げなら何月から何%、不採算商品縮小なら売上は何%減っても粗利はどう変わるか、人員再配置なら月次固定費はいくら下がるかまで落とし込めると、銀行は評価しやすくなります。
また、売上予想は高く見積もりすぎないほうがよく、実務上も「低めに計画して高く達成」の発想が推奨されています。
| 改善テーマ | 施策例 | 数字での見せ方 |
|---|---|---|
| 売上回復 | 既存客の再販強化 | 月商前年差の回復幅 |
| 粗利改善 | 価格改定 | 粗利率の改善見込み |
| 固定費圧縮 | 外注見直し | 月次費用の削減額 |
| 資金安定化 | 在庫圧縮 | 現金化額と時期 |
改善策が数字に落ちていないと、銀行には希望的観測として映りやすい点に注意が必要です。
銀行に伝わる赤字決算の話し方と面談の進め方

同じ内容でも、話し方で銀行の受け止め方は大きく変わります。
とくに赤字決算の面談では、社長が防御的になるほど会話が噛み合わず、必要以上に悪く見られてしまうことがあります。
逆に、順序立てて説明し、質問に先回りできると、厳しい数字でも納得感を作りやすくなります。
ここでは、銀行面談で使いやすい伝え方の型を整理します。
最初に結論を言う
赤字決算の説明では、まず結論から入るほうが伝わります。
「今期は赤字ですが、主因は設備投資と一時的な売上減で、足元の資金繰りは回っており、来期は粗利改善と固定費圧縮で黒字化を目指します」という形で、要点を短く置くのが基本です。
そのあとに、原因、現在地、改善策、資金繰りの順で話すと、相手は整理して聞けます。
長い前置きや感情的な弁解から入ると、何が重要論点なのかが見えにくくなります。
説明が苦手な社長ほど、最初の一文を事前に書いておくと安定します。
言い訳ではなく原因分析として話す
銀行面談で避けたいのは、外部要因だけを並べる話し方です。
景気、物価高、人手不足、競合の影響などは事実でも、それだけでは「自社として何を見直したのか」が伝わりません。
大切なのは、「原材料高騰があった」という事実に続けて、「価格改定が遅れた」「粗利率管理が甘かった」「今は販売条件を改めた」と、自社の打ち手まで語ることです。
原因を自責で整理できる経営者は、厳しい状況でも改善可能性があると見られやすくなります。
責任を丸ごと外に置く話し方は、一番もったいない対応です。
面談で押さえたい順序
話の順序が決まっているだけで、赤字の説明はかなり落ち着きます。
とくに初回の面談では、論点が散らかると不安だけが増幅しやすいため、型を持っておくのが有効です。
- 今期の着地結果
- 赤字になった主要因
- 一過性要因と恒常要因の区分
- 足元の資金繰り
- 来期の改善策
- 借入返済への影響
- 必要なら追加支援の相談
この順で話せば、担当者もメモしやすく、社内稟議用の論点整理がしやすくなります。
赤字決算書を出すときに避けたい失敗

赤字決算そのものより、提出時の対応で損をしている会社は少なくありません。
銀行は完璧な会社を探しているわけではありませんが、管理不足や不誠実さを感じると、支援姿勢を急に慎重に変えることがあります。
ここでは、実際にやりがちな失敗を三つに絞って整理します。
どれも意識すれば防げるものばかりなので、提出前のチェックに使ってください。
悪い情報を後出しにする
最も避けたいのは、悪い情報を小出しにすることです。
決算書を出したあとに、実は税金が未納だった、主要取引先が離脱した、翌月に資金ショートの恐れがあるといった情報が追加で出てくると、銀行は数字以上に情報管理へ不信感を持ちます。
厳しい内容ほど、先に整理して共有したほうが、担当者は社内で動きやすくなります。
面談の場で話しにくい事項があるなら、口頭だけでなく書面でも補足しておくと、誤解を減らしやすくなります。
楽観的すぎる見通しを出す
赤字のあとに良く見せたい気持ちから、売上予想を盛ってしまうのは危険です。
実務上も、業績予想は高く見積もりすぎないことが勧められており、達成可能性が低い数字は逆に信用を落とします。
銀行は、きれいな予想より、現実的な前提に基づく計画を好みます。
「受注見込み」「既存先の回復」「値上げ反映時期」など、根拠のある数字に絞るほうが、結果的に支援を受けやすくなります。
見栄のための強気計画は、次回の面談で自分を苦しめるだけです。
決算書だけ渡して終わる
赤字決算で最ももったいないのは、決算書だけを渡して説明しないことです。
銀行側は数字から推測するしかないため、一時的な赤字なのか、構造的な問題なのかを保守的に見ざるを得ません。
実務記事でも、決算書と説明資料は一つのパッケージとして考え、必要なら経営計画も添付することが有効とされています。
| 避けたい対応 | 起きやすい受け止め | 望ましい対応 |
|---|---|---|
| 提出を遅らせる | 何か隠している | 早めに提出し面談設定 |
| 口頭だけで説明 | 社内共有しにくい | 説明資料を添付 |
| 強気すぎる予想 | 計画の信頼性が低い | 根拠ある保守的計画 |
| 原因が曖昧 | 改善困難に見える | 要因を分解して説明 |
赤字を消すことはできなくても、出し方で不利を大きく減らせることは覚えておきたいところです。
赤字決算を次につなげるために経営者がやるべきこと

赤字決算を銀行に出す場面は、気まずい報告の時間ではなく、会社の立て直しを始める節目にもなります。
大切なのは、提出を終わりにせず、以後の管理にどうつなげるかです。
銀行は一度の説明だけで判断を完了するわけではなく、その後の月次推移や約束の実行状況も見ています。
ここからの動き次第で、次回の評価は十分変えられます。
月次で数字を見る習慣を作る
赤字決算のあとに最優先で取り組みたいのは、月次管理の精度を上げることです。
年1回の決算だけで経営を振り返ると、手を打つタイミングが遅れます。
売上、粗利、固定費、営業利益、現預金残高、借入残高、納税予定などを月次で見るだけでも、問題の早期発見につながります。
銀行との面談でも、月次試算表や直近の資金繰りが出せる会社は、管理意識が高いと受け止められやすくなります。
恥ずかしさを減らす最も現実的な方法は、数字を見ないことではなく、普段から見慣れることです。
相談先を一人で抱え込まない
赤字決算を抱えると、社長が一人で悩みやすくなります。
しかし、銀行対応、税務、資金繰り、価格設定、固定費見直しは、それぞれ視点が違うため、税理士や認定支援機関など外部の視点を入れたほうが整理しやすくなります。
とくに、自分では説明できない数字が多い場合や、赤字の原因が複数絡む場合は、第三者と一緒に言語化したほうが、銀行面談でもぶれにくくなります。
相談すること自体が弱さではなく、改善のスピードを上げる手段です。
社長が孤立すると、決断も説明も遅れやすくなる点に注意が必要です。
次回面談までに見せたい行動
銀行は、完璧な回復よりも、改善に向けた行動の積み上げを見ています。
したがって、次回面談までに何を実行したかを示せるようにしておくことが重要です。
- 値上げの実施
- 不採算取引の見直し
- 固定費削減
- 在庫圧縮
- 資金繰り表の更新
- 月次試算表の早期化
- 新規受注の進捗共有
大きな成果がなくても、具体的な行動が見えると、銀行は「この会社は手を打っている」と評価しやすくなります。
恥ずかしさより信頼の積み上げを優先したい
決算書が赤字で銀行に出すのが恥ずかしいと感じるのは、ごく自然な感情です。
ただ、銀行取引の現場では、赤字であること自体より、赤字をどう説明し、どう管理し、どう改善していくかのほうが重要に見られます。
提出を遅らせたり、決算書だけを渡して終わったり、楽観的すぎる見通しを出したりすると、数字以上に信頼を損ないやすくなります。
反対に、赤字の原因を整理し、資金繰り表や決算説明資料を添え、来期の改善策を自分の言葉で説明できれば、厳しい決算でも前向きな対話は十分可能です。
赤字企業は決して珍しい存在ではなく、国税庁の調査でも欠損法人は多く存在しています。
だからこそ、必要以上に自分を責めるより、銀行が知りたい論点に合わせて準備を整えるほうが現実的です。
恥ずかしさを完全に消すことは難しくても、説明の精度を上げることはできますし、その積み重ねが銀行との信頼につながります。
次に決算書を出すときは、「見せたくない数字」ではなく、「改善の起点になる資料」と捉え直してみてください。


